淫影


人の思いを無邪気に傷つけては成長するという
血の色をした鳥の飛ぶ
暗き緑の木々の絨毯
冷たき眼のその純真さの永遠を持つという
灰色の肉食魚の泳ぐ
深き青き水の絨毯

今まさに聖者がそこを踏みしだけば
重き黒き雲々のうめき
天より見放された生臭き涙
死霊の恨みつらみ
怒れし絶叫の数々
葉をちぎり枝を裂き
生ける者供を地中より引きづり出しては
咬み殺して行く

真夜中の砂漠でさそりが泣いている
微かに青白き星の光を浴びて
重い鉗を上げ下げしながら
サクサクサクと泣いている

泣き疲れた脂蝉が
人の背から落ちて行く
手足をもがきながらも
二度と空は飛べないだろう

貧しき心の男
愚痴も尽き果てた夜明け頃
ささくれた肌の卵より
ヌルヌルとした蛇に生まれる

蛇が女に絡みついて行く
この陰惨な宇宙に捕らえられた生けにえ
ゆっくりとその頚に絡みついて行く

お前が喜びの微笑みを漏らす
ああそうして
股間に尾を滑らせ
乳房には赤黒い割れた舌先で愛撫をするのだ
蛇の成せる愛撫を

赤や黄に色を変えながら
欲情した臆病な蛇は
微かながら生白き頚を絞めつけて行く
ゆっくりと優しく
お前に気付かれぬように殺して行く為

爬虫類の成せる愛の如く
乾き切った眼の奥で
永遠のお前をはらんで行くのだ

戻る